果報は寝て待て: 10月 2021

2021年10月17日日曜日

インタープランの無線モジュールを使ってみた。その2

 パトライトの無線化に気を良くして、次々と無線化していきます。

次は切削水のタンクです。ライン担当者はライン内の旋盤に切削水を補給する場合、遠いラインで50mくらい歩いてきて、集中タンクについているポンプスイッチを押します。1度スイッチを押すと5分くらいポンプが作動するように設定してます。その間にラインに戻ってコックを操作して切削水を補給します。

それをライン近くのリモコンのスイッチを押せば 、遠く離れた集中タンクのポンプが回りだすという、リモコンの見本のような使い方をします。リモコンは2台配置します。

上がリモコンのケースです。前回はアルミケースを使用したので尻尾をケースから出す必要がありました。今回は収納して大丈夫と思います。
上の左がリモコン側、右が受信側です。

左がリモコン側、右が受信機で集中タンクに取り付けます

簡単に無線化できる。またその時の状況に応じて増やせるというのはほんと、便利ですね。


2021年10月15日金曜日

旋盤のチャックの爪の芯ズレを調べる方法

 旋盤で、ワークを加工する時、爪で掴みます。爪は金属製、鬼爪(インサート)と言って繰り返しの使用時に摩耗しにくい材料がワークに直接当たるように作ってあります。

旋盤をぐるぐると回したときに中心とワークを掴む爪の中心が一致していればよいのですが、そのためには爪を取り付けするたびに削らないといけません。まして鬼爪を装着してる爪は削れません。

ではどうするのかと言いますと、旋盤に常時固定の親爪と、鬼爪が装着されてる子爪との間にシム(薄っぺらい金属片)をはさんで爪の中心をずらして、旋盤の軸芯(中心)に近づけてやります。

今回、どの爪にどれだけのシムをかますべきなのかの計算方法を説明します。

1, 芯出しリングを使用する方法

爪1、爪2、爪3の三本の爪が旋盤についていてこれらの中心にワークを置いて、爪はそれぞれ中心向きの力でワークを支えます。(外径クランプ)


 

上図のように芯出しリングをクランプさせます。芯出しリングとは、外径の中心と内径の中心が一致している真円状のリングです。厳密に言えば存在しませんが、ほぼそんなイメージです。


芯出しリングの内径にピックインジケータやダイヤルゲージをあてて、主軸(チャック)をぐるりんと手で回します。

その時、旋盤の軸芯と爪の中心が一致していればダイヤルゲージの振れは0のままです。

では上図のように爪の中心が旋盤の軸芯から距離aだけ爪1の方向へずれていたらどうでしょうか?

その場合ダイヤルゲージの最も遠い位置が爪1の方向になり、ズレの距離は

a = (最も近い位置のゲージ読み -最も近い位置のゲージ読み)÷2

となります。例えば最も近い位置のゲージ読みが +0.3mmで遠い方が-0.1mmだと a=0.2mmとなります。ここまではイメージしやすいと思います。

 

2、 芯出しリングを使わない方法

 芯出しリングの使用はある程度正確にでるのですが、使えない場合が結構あります。

 1 適切なサイズのリングを持ち合わせていない

 2 あるけど、爪の跡やさびでがたがた

 3 ロケーション(リングを旋盤方向へ押し当てるための台)が爪より外にある

こういう時の方法の一つにワークの内径を切削させる方法があります。

 1 4つ爪使用時の方法

   比較的簡単です。下図のようなワークとします。


下図のようにクランプします。
内径を切削した所下図のようになりました。

距離bだけ爪1のほうへワークが寄っているのです。
この状態で(ワークを一度もアンクランプしない)ダイヤルゲージを当てて主軸を手で回すと振れは理論上0ですね。


次にワークをアンクランプし、180度回転させて再度クランプします。黒の点は旋盤の軸芯、緑の点は爪の中心、赤い点はワークの内径の中心です。

上図のようにダイヤルゲージを当てて回すと、最小値(最も遠い所)の方向に爪の中心が寄っていることがわかります。また寄っている距離bは

b = (min - max)÷4

例えばダイヤルゲージの最大値が0.5mmで最小値がー0.1mmだとすると  b = (0.5 + 0.1)/4 = 0.15 となり、爪の中心は爪1の方向へ0.15mm寄っていることがわかります。

その場合爪1側に0.15x2 = 0.3mmのシムをかませます。 なぜ2倍の厚みのシムなのかは別の機会があれば説明します。

ここまではイメージしやすいと思います。

  

  2  3つ爪使用時の方法

ここからが今回の本番です。下図のようなワークと爪があります。


じ実際に内径を切削すると下図のようになりました。
爪の中心は距離cだけ爪1の方向へ寄っています。このままダイヤルゲージは0のまま触れません。180度回転させることはできません。

そこで、ワークをアンクランプさせ、時計方向に120度回転させて再度クランプさせますと下図になります。


拡大してみると下図になる。

Oc : 爪の中心(チャックの中心)

Os :  旋盤の軸芯(中心)

On :  ワークの内径の中心

Onは、回転させる前はOsと同じ場所でしたが、Ocを中心に120度時計方向に移動しました。


ダイヤルゲージをあて主軸を手でまわすと(Osを中心に回転)、最大値と最小値の差は 2 x (On,Os間の距離)となります。三角形(On,Oc,Os)は120度の角度を持つ2等辺三角形になるので、cを求めると

c = (最大値と最小値の差)÷2÷√3

となります。また最も遠い点は、点Onと点Osを通る線になるので、爪1との方向のズレは ー30度となります。

 

   最後に3つ爪方法をまとめると、

材料をクランプさせ内径切削する。

アンクランプさせ、120度時計方向にかいてんさせ、再度クランプさせる

③ダイヤルゲージで振れの最大値と最小値の差から距離cを求める

       c = (最大値と最小値の差)÷2÷√3

④最小値(最も遠い点) から時計方向に30度回転させた方向に、距離cだけ爪の中心はずれている

例えばダイヤルゲージの読みの最大値が 0.1で、最小値が ー0.4だとすると c = (0.1+0.4)/2/√3 =  0.14  がズレの距離となります。


理論通りにはなかなかいきませんが目安としての使用には有効で10年以上使ってます。




2021年10月2日土曜日

インタープランの無線モジュールを使ってみた



職場(工場)の改善でインタープランの無線モジュールを使う機会がありました。


多種類ある無線モジュールの中でも、本体のみで接点モードが使えるということでこれを選びました。 

導入の背景です。

作業されてる方は設備1と設備2の複数のラインを担当しています。その方が設備2の検査場所にいると、設備1の停止の音をしらせるパトライト1は設備の向こう側にあります。

 

そのため設備停止がすぐにわからず、停止時間が長引くという不具合が起こってます。

 そこで次のように変更します。 


パトライト1の信号を有線でIM920sLへ送り、無線で親機に飛ばし、有線でブザーユニットにつないで鳴らします。

これで作業されてる方が設備2の検査場所にいても設備1の停止がすぐにわかります




 

 

無線モジュールの設定です。

 ① 親機の設定

  1.  REG SW を押しながら電源を入れます。

    2.  STATUS LED 2 回点灯した時点でREG SW を離します。

     この時点で早い点滅を繰り返してる場合は、何度か 1. をやり直します。

  3. REG SW を再度押し、LED が連続点滅になるまで押し続けます。(約3 秒)

  4. REG SW を再度押し、LED 0.5 秒に1 回の点滅となるまで(約3 秒間)押し続けます。

    電源を切らずにこのままの状態で子機のそばに置いときます。

② 子機の設定

  1.  REG SW を押しながら電源を入れます。

    2.  STATUS LED 2 回点灯した時点でREG SW を離します。

     この時点で早い点滅を繰り返してる場合は、何度か 1. をやり直します。

    STATUS LED は連続点灯に変化すると設定完了です。

 

将来的に送信機は増える可能性があるので、子機に。受信機を親機にします。

2.5㎜ピッチの変換アダプタも購入してユニバーサル基盤に組みます。

子機(送信機)側です。

IM920c用変換アダプタ(IM920c-ADP)のピン配置がどこにも載ってなかったみたいですが、テスターで当たって上の図のようになってることがわかりました。

パトライトの信号線(LOWにしたときにオンします。  )をフォトカプラで電圧変換してIM920sLのP1に入れます。

P9がハイ、P10がローで 接点モードの送信機となります。

次に親機(受信機)側です。


 3端子レギュレータは発熱を考え、ロームのDC/DCコンバータを使いました。

有効性が確認できれば他のパトライトの信号も受信させる予定です。受信機の場所も簡単に変更できます。

中華製WIFIのモジュールがワンコインで買える時代、インタープランの無線モジュールは1台5000円く近くしますが、日本製の無線モジュールという事でとても安心感がありますね。遊びで使うのでなく、仕事でならなおさらです。